レポート1

 新月の樹の紹介~過去の使用例

【オーストリア・ドイツ】

トーマ社(オーストリア)に合わせ一部の林業組合が採用している新月伐採期間

  • 「新月の木」を紹介した著書は環境立国ドイツでベストセラーとなる。
    ※筆者はチロル地方(オーストリア)のカルヴェンデル山岳地区で営林署員として6年間勤務し現在は製材所を経営してみえます。
  • オーストリアの森林局が「新月の木」であるかどうかを証明書に明示
  • 民俗楽器アルペンホルンや、バイオリンの名器ストラディバリウス。最高の音を生む秘密は「新月の木」を使用していた

 【日本】

  • 世界最古の木造建築、法隆寺の柱にも使われたとわれている

 研究・検証レポート

【オーストリア・ドイツ】

  • 丸太を運び出す際、トラックの運転手が普通の木よりもすごく軽く「この木はいったい何なんだ」と尋ねてきた。
  • 数多くの現場で、新月伐採されたモミやトウヒに反りやくるいが出ないこと、防腐処理をしなくてもカビが生えないこと、虫がつかないため殺虫剤も塗料も要らないことなどの効果を次々と実証されている。
  • 乾燥が充分に進むは、切り倒された木が子孫を残そうとその枝葉の先にまで、栄養分や水分を送るためではないかと考えられている。

 【日本】

  • ミズキ(広葉樹)で効果の確認 ※文献より
    • 製材前
      • 満月時伐採 表皮にところどころ虫食いの跡が見られた
      • 新月の木 虫食いの跡は見られない
        ※製材直後の水分を調べると、両者の差は歴然だった
    • 製材後
      • (約1週間)
        満月時伐採 黒いカビがはっきりと現れ始める
      • (約半年)
        新月の木 木肌は白いまま
  • 楮(こうぞ)の木から「新月の和紙」制作テスト#1
    • 2006年、楮の苗を新月期と満月期伐採し、和紙を製作する過程や漉きあげた状態などを、満月伐採と比較してみました。
      1. 「新月伐採」から漉き上げた紙は、木の繊維質が残り、ゴワゴワした荒い感じがし、印刷などには適さないが、クラフトなどでは独特の素材感を表現すことができる。
  • お茶の試飲 (2008/02)
    • 2007年の12月に、新月期と満月期から伐採し製造したお茶が手に入ったので、今年になって試飲してみた。
      1. 満月のお茶は、まろやかな柔らかい味に対し、新月のお茶は、渋みが強く癖はあるが口の中がさっぱりし後味は良い。
        どちらが好みかは、季節や飲み方(冷茶/熱いお茶)、個人によって違うが、新月と満月の葉を摘み取る時期により、味が違ってくる事は確認できました。
        榊原社長には「機会があればお茶の成分の違いを調べては」と、2007年の初夏に初めて新月のお茶をいただいたときに伝えていたが、新月期/満月期の違いがお茶の成分でも確認できる事を期待したい。

 課題・検討事項 (2005/02/19)

  • 湿度や産地によっては標高の差から生じる木材含水量のヨーロツパとの違いによる検証と技術的な対応
  • 建材として供給できる樹種及び出荷量の把握
  • 「新月の木」の見分け方や表示方法
  • 伐採~葉枯らし~天然乾燥による手間や価値のアップに伴う通常伐採材とのコスト差
  • 依頼から伐採→製材→現場搬入迄の期間及びフロー

 事務所の取組み

 当事務所では25年程前からチロル地方のログハウスを手掛けることがきっかけとなり、古くから木の文化で育ってきたアルプス・チロル地方と日本に伝わる共通点やエコロジー建築情報などを調べ、ボーデン湖周辺発祥のバウビオロギー山麓の民家などをホームページに掲載してきました。

 今回「新月の木」のハイレベルな性質に興味を持ち、新月伐採を日本に紹介したトーマ社国内総代理のマテー氏などから情報を入手し、日本とヨーロッパを比較した環境や税制などの違いの問題点や、さらなる検証の必要性を感じており、ヨーロッパからの木材を使用した建物などを手がけ知識や技術を入手して、国内の木にたずさわる人々に情報を伝えることで、日本の木の発展につなげて行きたいと思っています。